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ミカエル・スタンダード vol 9

新宿ロフトの夜のステージ…
憧れていたはずのステージ…

いつも
働いている場所だけど
ステージに出るというのは
全然違うものなんだよな…

前にも書いたが
ステージから見る風景と
客席から見る風景は
恐ろしいほど違う…

こんなところへ
出演していいのか?

という思いは
全然消えなかった…

だけど
「夢が叶う」
という気持ちが勝ってたのも事実だ…

このステージについては
あまり覚えていない…

無我夢中で演奏したはずだ…

演奏が終わり楽屋へ帰ると
満足感より先に

「チクショー」

という感情が出てきた…

何もかも
満足出来なかった…

店長のヤマザキさんは

「良かったぞ!」

と誉めてくれた…

と同時に
アドバイスもくれた…

でもオレは下を向いたまま
聞いてたんだよな…

納得がいかなかったからだ…

オレの気持ちを察してか

ヤマザキさんは
少し笑みを浮かべ

「アキボー
今の気持ち忘れるなよ…」

と言葉をくれた…

壁にぶち当たり
唇を噛んでいる
オレの気持ちは

ヤマザキさんには
どうやら
お見通しだったようだ…

だけど家へ帰ると
ギターケースは押し入れに
また入れてしまった…

しばらくは開ける気には
ならなかったな…

でも

やっぱり…


ギターを手に取る…

次のライブも
その繰り返しだった…

でもレギュラーで
出演はしていたんだ…

そんなある日…

またヤマザキさんから

「アキボー!ちょっと!」

と声がかかった…

こんなことやってたら

レギュラー
降ろされるんだろうな…

と思い
声の方向へ歩を進めた…




ザ・ルーディーズ
Singer
秋村恵丈